・よい人生、幸せな人生を送りたい人
・人生で大きな失敗を避けたい人
・”考え方”から自分の人生を変えたい人
「よい人生、幸せな人生を送りたい」
それは人間であれば誰しもが思うことでしょう。
あなたもそうではありませんか?もちろん、私もそう思っています。
では、”よい人生”や”幸せな人生”とは、いったいどのようなものでしょうか。
一口に”よい人生、幸せな人生”と言っても、考えるべきことは多くあります。
・幸せな人生を送るには、どのように生きればよいのか
・よい人生の条件とは何か
・よい人生は何によって決まるのか——考え方?目的の達成度?
このように、問いは尽きません。
さらに、私たちが生きるこの世界は非常に複雑で、ひとつの理念やいくつかの原則だけでは理解しきれるものではありません。
そんな複雑な世界のなかで、よい人生、幸せな人生を送るために役立つのが、”よりよい人生を送るための様々な思考法(思考の道具箱)”です。
思考の道具箱に入れるべき様々な思考法については、書籍『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』にまとめられています。
この記事では、『Think clearly』に記載の”52の思考法”の中から、「人生で大きな失敗をしないためにはどうすればいいか」に焦点を当て、抜粋した5つの思考法を紹介します。
『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』の概要
書籍タイトル | Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法 |
著者 | ロルフ・ドベリ |
翻訳者 | 安原 実津(やすはら みつ) |
発売日 | 2019年4月5日 |
出版社 | サンマーク出版 |
ページ数 | 478ページ(単行本) |
価格 | 単行本:2,090円(899pt) Kindle版:891円(9pt) ※2025年5月25日時点Amazon価格、()は獲得Amazonポイント |
要約:人生で大きな失敗をしないための5つの思考法
①”勝つこと”ではなく”負けないこと”が大事
ここで紹介するのは、この後に取り上げる4つの思考法にもつながる、根本的な考え方です。
私たちの意識は、”勝つこと”や”何を手に入れたか”にばかり向きがちです。
しかし、よい人生を歩みたいのであれば、勝つことよりも”負けないこと”、何を得たかではなく”何を避けるか”のほうが、はるかに重要です。
”何が人間を幸せにするのか”については、さまざまな分野の専門家でさえ、具体的に解明しきれていません。
一方で、”幸せを大きく損なうもの”は、アルコールや薬物依存、慢性的なストレス、病気、貧困、孤独など、具体的に挙げることができます。
このような、幸せを台無しにしかねない”人生のマイナス要素”をあらかじめ避けることこそが、豊かな人生への第一歩なのです。
「勝つよりも負けないようにして、できるだけ長く株式市場に居続けることが大切」と長期投資の世界ではよく言われますが、この考え方は人生にも当てはまります。
②特定の要素だけを過大評価しないようにする
突然ですが、次のことを想像し、それぞれの幸福度を0点〜10点の11段階で評価してみてください。
A:理想の住居(タワーマンションの最上階や広い一軒家など)に住んでいる自分
B:古びたアパートの一室に住んでいる自分
結果はいかがでしたか?
私の場合、Aは10点、Bは0点でした。
おそらく、あなたも同じような評価をしたのではないでしょうか。
少なくとも、理想の住居に住んでいる自分のほうが点数は高くなったはずです。
では、次の場合はどうでしょう。
C:理想の住居に住んでいるが、常に仕事に追われ、時間やお金に余裕がない自分
D:古びたアパートの一室に住んでいるが、時間とお金を自由に使える自分
私の場合、Cは2点、Dは6点でした。
AとC、BとDは住んでいる場所こそ同じですが、想像した幸福度は大きく異なります。
なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。
それは、AとBでは”住んでいる場所”という一つの要素だけに注目して幸福度を想像したのに対し、CとDでは”住んでいる場所”だけでなく、”使える時間”や”お金”といった他の要素も考慮して評価したからです。
この例から言えるのは、「人生において”特定の要素”だけに意識を集中させるべきではない」ということです。
年収、資産額、住居、所有物、時間的余裕 など
「お金はあまり持っていないけれど、家族や友人と過ごす時間はたっぷりある」
——このような視点を持てるようになることが大切です。
特定の要素にばかり注目するのではなく、物事を全体的にとらえ、総合的に判断・評価することで、極端に幸福度を下げたり、判断を誤ったりすることを防ぎやすくなります。
③自分の感情に従うのをやめる
「自分の心の声に従って決めろ!」
「感情の赴くままにやってみよう」
このような言葉を、あなたも一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、こうしたアドバイスには従わないほうがよいとのことです。
なぜなら、私たちは自分の感情を正確に把握することができないから。
「感情とは常に揺れ動いており、どの方向を示しているのか分からないコンパスのようなもので、そんな不安定な心のコンパスを、重要な意思決定のナビゲーションに使うべきではない」というのが著者の主張です。
では、なぜ私たちは自分の感情を正しく認識できないのでしょうか。
その理由として、以下の2点が考えられています。
理由1:進化の観点から見ると、自分の感情を把握することよりも、他人の感情を読み取ることのほうがはるかに重要だった
人間は、”自分の感情よりも他人の感情を読み取ることのほうが得意”であることが、すでに事実として明らかになっている。
理由2:「自分はこう感じている」と認識したとしても、それが本当に正しいかどうかを検証する方法がない
仮に認識が誤っていたとしても、それを修正する手段がないため、正確な自己分析は非常に困難である。
結論として著者は、「”周りの人の感情”は真剣に受け止めるべきだが、”自分の感情”とは真面目に向き合う必要はない」と述べています。
ただ、私の意見としては、「”自分の感情”とは真面目に向き合う必要はない」というのはかなり極端な考え方に感じています。
「意思決定をする際の”自分の感情”という特定の要素は、メリット・デメリット、かかる手間やコストなどと同じく、あくまで判断材料の一つであるため重くとらえすぎないようにする」くらいの考え方がちょうどいいんじゃないかなと、私個人としては考えています。
④解決よりも予防をする
「頭のいい人は問題を解決するが、賢明な人はそれをあらかじめ避ける。」
これはアインシュタインの言葉です。
人生におけるあらゆる困難は、”解決”するよりも”回避”するほうが、早く、そして楽です。
しかし、”問題を避ける行動”は、目立ちにくく魅力に欠けるという厄介な特徴があります。
たとえば、経営破綻寸前だった企業の業績を回復させたマネージャーは、その功績が高く評価され、映画やドラマの題材になることすらあるかもしれません。
問題の解決は、外部から見てわかりやすく、華やかさもあります。
一方で、あらゆる予防措置を講じ、経営破綻のような事態を未然に防いでいるマネージャーの功績は、外部からは見えにくく、大きな話題になることもほとんどありません。
そのため、多くの人が魅力を感じ、憧れるのは”問題を解決する人”です。
しかし、より高く評価されるべき真のヒーローは、”問題を未然に防いでいる人”です。
そして私たちが重視すべきなのは、「解決策」ではなく「予防措置」であることを、しっかりと心に留めておく必要があります。
ただし、予防措置をとるには、知識だけでなく、想像力も求められます。
ここで言う”想像”とは、将来起こりうる問題とその結末を具体的かつ綿密に予測する能力であり、高い集中力を要するものです。片手間に何となく頭に思い浮かべるようなものではありません。
問題に対して予防的に備えるためにも、週に15分を目安に、あなたの人生で起こりうる重大な問題について集中して考える時間を設けてみましょう。
⑤期待は少ないほうが幸せになれる
私たちの脳は、常に何かを期待しています。
たとえば、水道の蛇口をひねるときは水が出ることを、電車に乗るときはその電車が目的地に到着することを期待しています。
ただし、こうした期待は無意識のうちに抱いているため、私たちがそれを自覚することはほとんどありません。
問題なのは、私たちは”過度な期待”を抱くことがあり、それが裏切られたとき、幸福感を大きく損なってしまう点です。
そのため、私たちは”現実的な期待”を持つための工夫をする必要があります。
その一つの方法として、”期待を11段階で評価する習慣”を取り入れることが挙げられます。
具体的な手順は、以下の3ステップです。
ステップ1.何かをしようとするとき(旅行前、デート前、プレゼン前など)には必ず、”必然”、”願望”、”期待”をはっきり区別する。
必然:しなければならないこと
願望:自分がしたいこと、好みや目標
期待:できればいいなと思うこと
ステップ2.期待を0~10の11段階で評価する。
0:悲劇的な出来事を予想している
10:一生をかけた夢がかなうと期待している
ステップ3.自分が評価した点から”2点”を差し引き、その数値を頭の中に定着させる。
上記のようなステップを踏むことで自分が抱く期待を小さめに見積もることができ、幸福感を損なうことも減るでしょう。
『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』のAmazonレビュー
Amazonの商品ページでの評価を見てみると、評価点の平均が5点満点中4.2点と高く評価されていると言えるでしょう(2025年5月25日時点)。

高評価のレビューを見てみると、
「どれもタメになる知識ばかりで、データも豊富に明示されておりとても分かりやすい内容だった。」
「この本には読むだけでも心がスッキリする知見に溢れている。具体例とエビデンスの割合がちょうどよく、非常に読みやすい。」
といった感想が見受けられ、得られる知識の内容や読みやすさが評価されているようです。
一方、低評価レビューを見てみると、
「量が多い、著者の意見も多く含まれるので自分とは合わないと思う人もいるだろう」
「先ず著者の偏ったモノの捉え方や考え方、そして根拠性の低い数値評点やいたずらにページ数を稼ぐかのように書かれたまだらっこしい比喩的文体はどうも自分の価値観と合わず受け入れ難い。」
などの声がありました。
実際、私も読んでいて、「著者の価値観ベースで書かれている」と感じることはありました。
合わない人からすれば低評価になってしまうのは仕方がないのかなと思います。
まとめ
『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』から、”「人生で大きな失敗をしないためにはどうすればいいか」に焦点を当て、抜粋した5つの思考法”を紹介してきました。
ポイントを以下にまとめておきます。
①「勝つこと」ではなく「負けないこと」が大事
幸せを台無しにしかねない「人生のマイナス要素」をはじめから避けることが、豊かな人生につながる。
②自分の感情に従うのをやめる
私たちは自分の感情を正確に把握することができない。
”周りの人の感情”は真剣に受け止めるべきだが、”自分の感情”とは真面目に向き合う必要はない。
③特定の要素だけを過大評価しないようにする
ものごとを全体的にとらえて判断・評価をすることで、極端に幸福度を下げることや判断ミスをしてしまうことを避ける。
④解決よりも予防をする
人生におけるあらゆる困難は、”解決”するよりも”避ける”ほうが早いし楽。
問題に対する予防をしておくためにも、一週間のうち15分を目標に、人生で起こりうる大きな問題について、集中して考える時間を持ってみる。
⑤期待は少ないほうが幸せになれる
”過度な期待”は幸福感を大きく損なうことにつながる。
”期待を11段階で評価する”習慣をつけることで、”現実に即した期待”を持てるようにする。
この記事で紹介した内容についてもっと詳しく知りたい方や、この記事で紹介しなかった内容について知りたいという方は、ぜひ『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』を読んでみてください。
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