幸せとは他者を愛すること。『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』/岸見一郎、古賀史健 [書評・要約]

スポンサーリンク
『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』はこんな人にオススメです

・『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』を読んだことがある
・教育に関して悩みがある
・幸福に暮らしていくためのヒントが欲しい

「幸せになるにはどうしたらいいのか?」

あなたも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

・大金持ちになる

・自分の本当にやりたいこと使える自由な時間を手に入れる

・多くの人に愛される

など、人によって様々な考えがあるかと思います。

そんな「幸せになるにはどうしたらいいのか?」という問いに対し、書籍『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』では、1つの答えを提示しています。

それは「他者を愛すること」です。

この答えになんとなく納得できる方もいれば、「他者を愛すること」がなぜ幸せにつながるのかと疑問に思う方もいるでしょう。

そこでこの記事では、書籍『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』の第5章「愛する人生を選べ」に書かれている、「他者を愛すること」が幸せにつながる理由について紹介します。


『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』について

本書はフロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアドラーの心理学がまとめられており、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに対する解が示された『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』の続編になります。

前作『嫌われる勇気』で登場した、アドラーの思想を説く哲学者の「哲人」と、哲人から教えられたアドラーの思想を社会生活で実践しようとするもうまくいかず、アドラー心理学に懐疑的になった「青年」の対話形式で話が進んでいきます。

最初は教育に関する話からスタートし、最終的にはアドラーの思想を本当に理解するために、「愛」というテーマについて語られます。

対話形式であることで多少わかりやすくはなっているものの、話の内容はなかなかに難しく、その内容はきっと賛否がわかれるでしょう。

そして、前作『嫌われる勇気』の内容を知っていることが前提となっています。

そのため、『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』をまだ読まれていない方は、こちらから読むことをオススメします。

「他者を愛すること」が幸せにつながる理由

ここからは、「他者を愛すること」が幸せにつながる理由を紹介していきます。

紹介をしていくうえで、前提となる考えを以下にまとめました。

・アドラー心理学で掲げる目標
 行動面
  ①自立すること
  ②社会と調和して暮らせること
 心理面
  ①わたしには能力がある、という意識
  ②人々はわたしの仲間である、という意識

 これらの目標は「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」と向き合うことで達成できる。

・『嫌われる勇気』で語られた「すべての悩みは対人関係の悩みである」という言葉の背後には、「すべての喜びもまた、対人関係の喜びである」という幸せの定義が隠されている。

・対人関係のゴールは、他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所があると感じられる「共同体感覚」である。

・幸福とは、「わたしは誰かの役に立っている」という主観的な感覚、すなわち貢献感である。

愛は「落ちる」ものではない

「愛や恋に落ちる瞬間というのは、ほとんどが”無意識”の働きによるもので、自身で制御するのは不可能である。」というのが、愛に関する常識的な見解でしょう。

しかしアドラー心理学では、「われわれ人間は愛に落ちるものではない」としています。

ほんとうの愛は「落ちる」ものではなく、意思の力によって何もないところから築き上げていくものである。

だからこそ、愛のタスクは困難である。

これがアドラーの見解です。

多くの人はこの原則を知らないまま愛を語ろうとし、「運命」や「本能」といった人間には関知しえない言葉に頼らざるをえなくなっています。

「愛される」から「愛する」へ

子ども時代のわれわれは、親に頼って生きていくしかありません。

そのため、子どもたちは「わたし」は親に愛されてこそ生きていけると気づき、「愛されるためのライフスタイル」を確立していきます。

そして多くの人が「愛されるためのライフスタイル」のまま成長していきます。

しかし「愛されるためのライフスタイル」は、いかにすれば他者からの注目を集め、いかにすれば「世界の中心」に立てるかを模索する、どこまでも自己中心的なライフスタイルなのです。

このライフスタイルから脱却しない限り、われわれは「誰かの子ども」としてのライフスタイルにとどまることとなり、アドラー心理学が掲げる目標の一つである「自立」を、ほんとうの意味で成し遂げることはできません。

他者から「愛される」ことを目標にするのではなく、他者を「愛する」ことによって、われわれはようやく大人になるのです。

「愛すること」で人生の主語が変わる

「愛」とは「わたし」でも「あなた」でもなく、「わたしたち」の幸せを築き上げることです。

つまり、ほんとうの愛を知ったとき、「わたし」だった人生の主語は「わたしたち」に変わります。

これは自己中心性からの脱却、つまりは自立を 成しえたことを意味します。

さらに主語が「わたしたち」になることで、「いてくれるだけで嬉しい」といったように、ただ生きているだけで貢献し合える関係となり、貢献感を感じることができるようになります。

そして、たった2人から始まった「わたしたち」は、次第にその範囲を広げていき、最終的には「共同体感覚」にたどり着きます。

人は「愛すること」を恐れている

人は意識のうえでは愛されないことを恐れていますが、本当は無意識のなかで愛することを恐れています。

「自分が愛したとしても、相手が自分を愛してくれるかはわからない」というなんの保証もない状況に全面的に自分をゆだねること、それが「愛する」ということです。

「愛すること」は担保をいっさい設けず、相手が自分のことをどう思っているかなど関係なしに、ただ愛することなのです。

われわれはなんの保証もされていない状況を恐れ、そのような状況に自ら飛び込もうとは思いません。

だからこそ、自分から先に愛することが大事になってきます。

「自分を愛してくれる人」を待っていてはいけません。

「愛すること」を選ぶ

ここまで説明してきたことをまとめると、

・われわれは他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放される

・われわれは他者を愛することによってのみ、自立を成しえる

・われわれは他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどりつく

そして、

・共同体感覚は対人関係のゴールである

・「すべての喜びは対人関係の喜びである」という幸せの定義

・愛を知り主語が「わたしたち」になると、ただ生きているだけで貢献し合える

 →幸福とは、貢献感である

これらによって「他者を愛すること」が幸せにつながると説明できるでしょう。

まとめ

書籍『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』の第5章「愛する人生を選べ」から、「他者を愛すること」が幸せにつながる理由について紹介してきました。

ポイントを以下にまとめておきます。

・ほんとうの愛は「落ちる」ものではなく、意思の力によって何もないところから築き上げていくもの
・「愛されるためのライフスタイル」は自己中心的であり、「他者を愛すること」によってわれわれは自立し、大人になる
・「愛すること」で人生の主語が「わたしたち」に変わり、最終的には対人関係のゴールである共同体感覚にたどりつく
・人は無意識のうちに「愛すること」を恐れているからこそ、自分から先に愛することが大事
・「愛すること」で共同体感覚にたどりつき、貢献感を感じられるようになることで、われわれは幸せになる

この記事では、第5章の内容のみを紹介しましたが、以下に示したように本書には多くのことを考えさせられる思想がたくさんあります。

・教育の目標は「自立」である
・教育は「教える側」が「教わる側」に対して、尊敬の念を持つことから始まる
・問題行動の5つの段階
・「ほめて伸ばす」の否定
・褒賞は競争を生む
・信用と信頼
・人と人とは、永遠に分かり合えない
・与えよ、さらば与えられん

これらの内容についても知りたい方、第5章についてもっと詳しく知りたい方はぜひ、本書『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』を読んでみてください。


PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました