すべての悩みは人間関係の悩み。『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』/ 岸見一郎、古賀史健 [書評・要約]

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『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』はこんな人にオススメです

・対人関係の悩みがある
・他者の目が気になって行動できないことがある
・アドラー心理学に興味がある

「トラウマなど存在しない」

「すべての悩みは人間関係の悩みである」

「他者の承認を求めてはいけない」

「自由とは他者から嫌われることである」

「他者を褒めてはいけないし、叱ってもいけない」

これらの言葉を読んでみて、あなたはどう感じたでしょうか?

なかなかに強烈な言葉だと思います。

賛同できない、納得できない方もいるでしょう。

これらの言葉は、ベストセラー書籍『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』にて語られるものです。

この記事では、そんな『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』について紹介していきます。


『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』について

本書はフロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアドラーの心理学がまとめられており、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに対する解を示してくれる一冊となっています。

アドラーの思想を説く哲学者の「哲人」と、哲人のもとを訪れた「青年」の対話形式で話が進んでいくのが本書の特徴です。

話の内容は難しめですが、対話形式となっていることで非常に理解がしやすくなっています。

そして面白いところは、青年が「アドラー否定派」であり、哲人の説くアドラーの思想に都度反論し、哲人を論破するつもりで対話をしています。

記事冒頭で紹介した言葉に納得できなかったのなら、あなたはアドラー否定派の青年と同じ立場となりますが、そんな青年も哲人との対話により徐々にアドラーの思想に納得し、受け入れていきます。

青年と同じようにアドラーの思想を受け入れるかはあなた次第ですが、読めば非常に多くのことを考えさせられる、本書はそんな一冊です。

もし、本書を読んでみて良かったと感じたなら、続編である『幸せになる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ-』もぜひ読んでみてください。

対人関係で重要となる「課題の分離」について

本書では「すべての悩みは対人関係の悩みである」と断言されているわけですが、その対人関係の悩みを解消するためには、「課題の分離」という考え方が重要となります。

わたし自身、本書を読んでいて特に重要な考え方だと感じた部分ですので、「課題の分離」について簡単に紹介させていただこうと思います。

承認欲求の否定

課題の分離についての説明をする前に、われわれ人間が当たり前に持つ承認欲求についてのお話をさせていただきます。

まず大前提として、「他者に認めてもらいたい」という承認欲求をアドラー心理学では否定します。

他者からの承認を求めてはいけないのです。

そもそもなぜ、われわれは他者からの承認を求めるのでしょうか?

多くの場合、”適切な行動をとったら褒めてもらえる。不適切な行動をとったら罰せられる”という賞罰教育の影響であると、本書では語られています。

ここで言う適切もしくは不適切とは、誰かにとって都合が良いかどうかということです。

適切な行動つまりは誰かにとって都合の良い行動をすれば褒められ、承認欲求を満たすことができるわけです。

しかし、承認を求め、他者にとって都合の良いことばかりしていると、自分を抑えて生きていくことになります。

「本当はやりたくないけれど、これをやったら褒めてもらえる」

「断ったら嫌われてしまいそうだから仕方なく参加する」

こういったことを繰り返す人生が、果たして幸せと言えるでしょうか。

われわれは他者の期待を満たすために生きているのではありません。他者の期待など満たす必要はないのです。

承認欲求から解放されたとき、あなたは人生での「自由」を手に入れることになります。

ただ、いきなり「承認欲求を捨てろ」と言われてもそれは無理な話でしょう。

そこで重要となってくるのが、「課題の分離」という考え方です。

課題の分離とはなにか

課題の分離とは、”「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離し、他者の課題には踏み込まない”という考え方です。

あらゆる対人関係のトラブルは、”他者の課題に土足で踏み込むこと”あるいは”自分の課題に土足で踏み込まれること”によって引き起こされます。

他者の課題に踏み込むことを避けるためには、「この課題は誰の課題なのか」を見分ける必要があります。

それには、「その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰か?」を考えます。

例えば、「学校での勉強」という課題については、勉強をしなくて最終的に困るのは子どもです。

なので、これは子どもの課題となり、親は踏み込んではいけません。

この課題に対して、親が口うるさく「勉強しろ」と言ったり、子供が夢中になっているゲームを取り上げたりなどして踏み込むと、子どもとの衝突(ケンカ)が起こります。

だからといって、放任しろというわけではありません。

子どもに対して、「勉強はあなたの課題である」ことと「あなたがやる気になったら手助けをする用意がある」ことを伝え、「頼まれてもいないのにあれこれ口を出さないこと」が親の課題となります。

イギリスのことわざに「馬を水辺につれていくことはできるが、水を飲ませることはできない」というものがあります。

あなたは馬に水を飲ませようと水辺に連れていく(自分の課題)、しかし馬が水を飲むかどうかは馬次第です(他者の課題)。

無理やり水を飲ませようとすれば、馬は暴れるでしょう。

対人関係もこれと同じなのです。

他者の課題に介入すると衝突が起こる

課題の分離により承認欲求を捨て、自由を手に入れる

課題の分離について紹介させていただいたので、ここからは「課題の分離」が「対人関係の悩みを解消すること」や「自由な人生」に、どうつながっていくのかに触れていきたいと思います。

まず対人関係の悩みについて、他者の課題に介入したとき、もしくは自分の課題に介入されたときに、対人関係では衝突が起こり、これが悩みの種となります。

この悩みを解消する方法は単純です。

”他者の課題には介入せず、自分の課題には誰も介入させない”ことです。

そのためには、課題の分離をしっかりと行う必要があります。

次に自由な人生について、これを手に入れるためにあなたにできることは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」だけです。

ここで障害となるのが承認欲求です。

「他者の顔色をうかがいながら生きる」「他者の望みを叶えるように生きる」、このような生き方は非常に不自由です。

承認欲求の根底にあるのは、「誰からも嫌われたくない」という思いです。

わざわざ他者から嫌われたいと思う人はいないでしょうが、われわれの努力とは関係なしに嫌われてしまうことはあるわけです。

「あなたが嫌われるかどうか」は他者の課題なのです。

逆に、あなたが自分の思うまま自由に行動したとしても、嫌われないかもしれません。

結論として、自由を手に入れるには「他者から嫌われること、承認されないことを恐れずに、自分の生き方を貫く」ことが必要となります。

あなたが「嫌われる勇気」を持ったとき、それが「自由」さらには「幸せ」へとつながっていくでしょう。

まとめ

書籍『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』を読んで、私が特に重要だと感じた「課題の分離」について紹介してきました。

ポイントを以下にまとめておきます。

・すべての悩みは人間関係

・課題の分離とは、”自分の課題と他者の課題とを分離し、他者の課題には踏み込まない”という考え方

・対人関係のトラブルは、”他者の課題に土足で踏み込むこと”あるいは”自分の課題に土足で踏み込まれること”によって引き起こされる

・他者があなたのことをどう思うかは、他者の課題

・承認欲求から解放されるには課題の分離が必要

・「嫌われる勇気」を持つことが、自由な人生へとつながる

本書には「課題の分離」以外にも、

・原因論と目的論

・勇気づけ

・劣等コンプレックスと優越コンプレックス

・人生のタスク

・共同体感覚

・横の関係と縦の関係

・普通であることの勇気

など、アドラー心理学を理解していくうえで重要なキーワードがたくさんあります。

あなたがアドラーの思想に共感するのか、それともアドラー否定派となるのかはわかりませんが、読めば何かしら得るものはある。

本書はそんな本ですので、少しでも興味が湧いたのなら読んでみてはいかがでしょうか。


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